美しく暮らしたい
すべてを自らの手で作る暮らし
できることから
ひとつひとつ
美しく暮らしたい
すべてを自らの手で作る暮らし
できることから
ひとつひとつ
こんなに急な段々畑は初めて見た。
狭いところは畳一畳の幅もない。
急峻な斜面にしがみつき懸命に生きた人間の
凄みのようなものを感じずにはいられなかった。
遠くの山から石を背負い、この畑を築いてきたそうだ。
その過酷な往復がいったいどれだけなされてきたのだろう。
江戸、明治の頃は多くの畑が石積みではなかったそうで、雨で土が流された。
決して裕福な集落ではなく、どの家も家族皆で石を必死に積み上げてきたのだとか。
積まれている石が小さいのはそのためだ。
当時の人々にとって石積みの畑は悲願であり「夢」であったそうだ。
しかしその「夢」の畑を継ぐ人はもういない。
たとえ継ぎたくても継げない時代なのだ。
柑橘をくれたお婆さんや、畑を耕すお爺さん。
この風景に生きた最後の人々の姿
決して忘れない。