美しく暮らしたい

すべてを自らの手で作る暮らし

できることから

ひとつひとつ

「夏 霧」
 
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霧に包まれた隣の牧場。
霧の多いこの土地の風景が本当に好きだ。
道を下ったところにある牧場では今年ヒツジを飼い始めていた。

冬支度をして以来の黒姫。
冬は雪に閉ざされるので作業の続きは翌春となるのだが
春に全く通えず夏を迎えるのは初めてのことだった。

黒姫での作業を進めるため、一年のうちの半分に展示会を
集中させる暮らしを始めてから二年。
毎月展示会をこなすのは自分の制作ペースでは本来は不可能なのだが
人生で一番しんどい時期と腹をくくり、なんとか必死で続けている。
ようやく予定していた全ての展示会を終えることができた。
泳ぎきったと言うよりは、最後は溺れながら波に打ち寄せられた感じだ。

展示会準備にずっと時間をとられてきたので
それ以外のやらなければならない仕事が随分と滞っている。
お待たせしてしまっている皆さま、本当にすみません。
この夏はやり残している仕事にあてたいと思っています。
暖かいお声を頂き本当に感謝しています。





黒 姫 20:16 -
「屠 る」
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自分の手で鶏を絞めた。 
嫁さんも自身の手で、きちんと一羽ずつ。
 
いつかやらなければならない事とずっと考えていた。
羽を押さえ首を反らせて頸動脈に刃を当てる…
あの瞬間の感触は今も身体の中に残っている。

 
昔は珍しくなかった光景かもしれないが、
自分達やその下の世代には馴染みがない。
園児に鶏の絵を描かせると、四本足だったり
スーパーのパック入りのものだったりする時代だ。
その子は鶏を食べる時、一体何にどのように感謝するのか。

「食べる」とはー、 「生きる」とはー。
なぜ教育はこの根源的な問題を避けて通るのだろう。
これより重要な事が他にあるのかと不思議に思う。

ある学校で食品流通科の一年生全員に鶏の卵を渡し、育てさせ、
最後に絞めさせるという教育をしているところがある。
学生達が葛藤しながらも真摯に向き合っていく姿に胸打たれた。
辛い経験だがそうする事でしか得られないものが絶対にある。

人間の命は数え切れない残酷の上に成り立っている。
ヒトは植物のように自分で栄養を作りだすことができないからだ。
ゆえに他の生命の命を奪い(動物も植物も)死体を刻んで食し、
その命を維持している。この事実から目を背けてはならないと思う。

現代の家畜のあり方には自分も思うところがあるけれど
「肉を食べなければ良い」という話でもない。
植物好きなら特に思うことだが、植物も立派な生き物だ。
もっと言えばヨーグルトや麹などの菌だって生き物だ。
そこには同じ命がある。
ここで問題にしたいのは、要は心の在り様なのだ。
頂くものへの感謝は勿論のこと、それを恵んでくれる全てのものに頭を垂れ
作物を育てるさいに奪う虫の命にまで慰霊の祈りを捧げる、といった
この日本に古くから根ざす深く崇高な風習や精神性。
そういうものこそが、自分の胸に最も響く思想であり、
真に納得しうる人間の在り方だ。



「命の教育」
雑 記 12:01 -
「蜜 蜂」
 




世界でいま 蜜蜂たちが激減している。

養蜂への甘い幻想を打ち破るのには十分な内容だった。
スイスの山奥にて在来種の蜜蜂で昔ながらの養蜂をする老人の元へも
近くの谷から輸入蜜蜂がやって来て交雑を進め、病気を蔓延させる。
祖父の代から蜂を愛してきた人間が押し黙って蜂を焼却処分する姿に胸が痛んだ。

2000年代、大規模アーモンド栽培で「アーモンド・ゴールドラッシュ」とも呼ばれ
世界全体のアーモンドの8〜9割を産するようになったカリフォルニア。
うちにあるアーモンドの表示を見てみるとやはりカリフォルニア産だった。
だがそこには不気味なまでの不自然な「自然」の姿と、農薬・抗生物質等、
薬漬けの蜜蜂たちの姿があることを自分は全く知らなかった。
蜂蜜にしろアーモンドにしろ、ついつい安いものを手に取ってきた。
もっとアンテナをしっかりと張って現実を知らなければと強く思った。

今まで「住」に重きを置いて活動してきたが、移住して家が完成してからは
「食」についてもより真剣に取り組んでいくつもり。
見習いたい人達との出会いにも恵まれ、これから学びたいこともたくさんある。

暮らしにまつわるすべてを出来うる限り自らの手でこなしたい。
そこにはきっとたくさんの生きる喜びがある気がするから。
そしてそれをこの世界に少しでも多く呼び戻したいから。





 
地 球 18:27 -
「一つの線」


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不意に出逢ったヒツジグサ。美しい里山の迷い道にて。
 

仙台から無事東京へ帰って来ました。
東北での展示会は初めてのことで、正直どうなるかと不安でしたが
お客さんにもお店の方々にもとてもとても温かく迎えて頂きました。
お陰様で楽しい思い出と深い充実感を胸に帰途につくことが出来ました。
ありがとうございます。次は二年後、楽しみです。
 
今回は東北の自然のなかで暮らす人々を訪ねる旅でもありました。
山深い地で熊撃ちや炭焼き、山菜採りや籠編みで暮らす若いご夫婦。
心地良い風が吹く牧草地で古くから無農薬の農業に取組まれている農家さん。
山を一人で開墾し、三十年以上かけて本当に美しい理想の地を作り上げたかた。

それぞれの方にお会いできたことは自分たちにとってとても大きく
実践面から心の面まであらゆることを学びました。そしてたくさん感動しました。
この世で何よりも自分の心を震わすものはやはり、人間の本来あるべき姿で生きる
人々の姿であったり言葉であったり、その瞳であったりするようです。

ここに導いてくれた全てのものに感謝したいと思います。
これまでの人生の様々な断片が一つの線に収斂されていくような感覚を
近年自分の中で徐々に感じ始めています。


 
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雑 記 17:00 -
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