2010 夏
さて、どこから手をつけたらいいのやら…
蔓、草、木々、岩々に埋もれた2500坪のこの土地は
まともに歩くことができないほどの密林だった。
どこを撮っても一緒。だいたいこんな感じだ。
引きの写真も無い。埋もれていて見えないから。
全体像は想像する頭の中にしかない。
帰国し土地探しを始めて十年。
田舎であればどこでもいいというのではなく、
あくまでも自分のイメージと理想を追ったので、随分と時間が掛かった。
馬を飼いたいという想いもあって広さにもこだわっていた。
仕事が仕事なだけに、まともな値段のするところにはとても手が届かず、
自分の収入を呪いもした。悔し涙もたくさん流した。
それが幾多の偶然や多くの人々のご厚意によって
奇跡的にもこうして運命を感じる土地に出会い、
そこに生きることが叶った。ただただ感謝の気持で一杯だ。
志あらば道は開ける。
道がないなら自分で作ればいい。
今時代に自分の土地を自分で拓く経験ができるなんて
とても幸せだと思う。
更地でないということはそれだけ何でもあるということだ。
木も石も、土も水もみんな大事に使わせてもらう。
牧場にしようが畑にしようが厳密に言えば人間本意の立派な自然破壊だ。
そのことは肝に銘じ生きてゆきたい。
土地に酒と米をお供えし、伏して長い長い祈りを捧げた。
そこに住まう許しを乞うた。
この命もまたこの土地に捧げたい。
いつの日かここの土となれたらいい。
まずはひたすら草刈り。 果てしない…
これを草と呼ぶのだろうか。
写っている草刈機が自分の背丈くらいだから、4mは軽く超えている。
オオブタクサ。嫌いな植物だ(笑)