美しく暮らしたい

すべてを自らの手で作る暮らし

できることから

ひとつひとつ

開拓記 4 「光射す」



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         2010 初秋







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密に生えた細い木々、下草、つるを一本一本
ノコギリやカマ、ナタ、草刈機で刈ってゆく。

自分は機械だが、嫁さんは朝から晩まで手作業だ。
握力を無くしながら、血マメをつくりながらもひたすら頑張ってくれる。

周りからも言われるが、なにがすごいって嫁さんが一番すごいと思う。
誰のものでもない己の夢なので自分が頑張るのは当たり前だが、
付き合わされてやるほうはたまったものじゃないはず。

それを特攻服のようなツナギ姿、虫除けのお面、
腰には数々の刃物といった怪しい出で立ちをものともせず、
ナタにカマにとブンブン振り回しながら密林を突き進んでゆく。
たくましいです。(笑)





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だんだんと土地の姿があらわになってくる。
嬉しくて二人であちこち歩き廻る。

この、"歩き廻る" "見渡す" という当たり前のことが
こんなにも嬉しい。夏にはまったく出来なかったことだから。

どこにどんな木や植物が生えているのか、岩があるのか、
沢はどういうふうに流れているのか、
そういったことがだんだんと明らかになる。
それを一つ一つ自作の大きな地図へと落とし込んでゆく。

家はこことか、ここに馬小屋とか、
あそこの大きな木にはツリーハウスとか、そんな夢たちと共に。




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森に光が射し、希望の光もまた溢れ出す。

疲労はつのるが心はとてもすがすがしい。
時間はかかっても、地に足をつけ一歩一歩
自分達の足で人生を歩いている気がする。

こういうことがずっとしたかったんだ。






黒 姫 21:10 -
開拓記 3 「祈 り」
 
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             2010 夏







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さて、どこから手をつけたらいいのやら…
 
蔓、草、木々、岩々に埋もれた2500坪のこの土地は
まともに歩くことができないほどの密林だった。

どこを撮っても一緒。だいたいこんな感じだ。
引きの写真も無い。埋もれていて見えないから。
全体像は想像する頭の中にしかない。





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帰国し土地探しを始めて十年。

田舎であればどこでもいいというのではなく、
あくまでも自分のイメージと理想を追ったので、随分と時間が掛かった。
馬を飼いたいという想いもあって広さにもこだわっていた。
仕事が仕事なだけに、まともな値段のするところにはとても手が届かず、
自分の収入を呪いもした。悔し涙もたくさん流した。

それが幾多の偶然や多くの人々のご厚意によって
奇跡的にもこうして運命を感じる土地に出会い、
そこに生きることが叶った。ただただ感謝の気持で一杯だ。

志あらば道は開ける。
道がないなら自分で作ればいい。
今時代に自分の土地を自分で拓く経験ができるなんて
とても幸せだと思う。

更地でないということはそれだけ何でもあるということだ。
木も石も、土も水もみんな大事に使わせてもらう。
牧場にしようが畑にしようが厳密に言えば人間本意の立派な自然破壊だ。
そのことは肝に銘じ生きてゆきたい。

土地に酒と米をお供えし、伏して長い長い祈りを捧げた。
そこに住まう許しを乞うた。

この命もまたこの土地に捧げたい。
いつの日かここの土となれたらいい。






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まずはひたすら草刈り。 果てしない…  

これを草と呼ぶのだろうか。
写っている草刈機が自分の背丈くらいだから、4mは軽く超えている。

オオブタクサ。嫌いな植物だ(笑)





黒 姫 10:10 -
開拓記 2 「東西南北」
 
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うちの土地からの東西南北を紹介。


まずは南から。
土地の南にはとても綺麗な木々のアーチが続く。

辛夷(コブシ)や山桜が花開く早春
萌黄色の光が眩い新緑の頃
夕陽に照らされた葉が舞い散る末の秋
深く埋もれる白銀の季節
どれをとっても美しい。

いつの日か馬を飼って、馬車を作って
この道を走らせたい。





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西隣の牧場

その広さ十数万坪。写真の右にも左にも奥にも広がっている。
草原に暮したいと願い続けてきた自分にとってはこれ以上ない借景だ。
広大な土地は買えなくてもそこに住んでいるような気分に。(笑)

黒姫山の気が風と共に吹き降りてくる。いつ見ても深呼吸したくなる風景。






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北の沢。
 
北側の境界を流れる沢。これも大のお気に入り。

自分の土地に沢が流れているなんてとっても嬉しい。
ここに決めた要因のひとつだ。大きなヤマメの姿も。






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北隣のソバ畑。

ソバの花に一面、白く覆われるこの時期の黒姫も好きだ。
正面に見えるのがうちの森。
この写真では見えないが、森とソバ畑の間に沢がある。
うちを超えたその先には国有林とC.Wニコルさんの森が広がる。


 



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ソバ畑から東を望むと北信五岳の一角、斑尾方面。






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ソバ畑から西を望むとこれまた北信五岳の一角、戸隠が。
神話の「天の岩戸」だ。





北信五岳は面白い位置関係をしている。
きれいなクロスを描いていて、その中心に黒姫山がある。
ここら辺りは風水的に見てもとても優れた地形らしい。

ここの心地好さには
そういったことも関係があるのかもしれない。








黒 姫 13:13 -
開拓記 1 「深き森」
 
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ようやくいろいろなものが落ち着いてきたので、
ここらでこの二年間の黒姫開拓について記していきます。

楽しみにしているとの声を寄せてくださった多くの方々、
ありがとうございます。そしてお待たせしました。

この二年間、持てる情熱の全てをかけて臨んだ日々の記録です。 




まずは開拓記の前にうちの土地周辺についてのあれこれ。
どんなところなのか、なぜそこなのかというのをざっと。

写真は北信五岳のうちの三山、奥から妙高、黒姫、飯綱。
うちは黒姫山と飯綱山の稜線が交わるあたり。標高約800m。


 

東京から嫁さんの実家のある富山までの道のりで2箇所、
特別な場所がある。

人工物が視界から全て消え、見渡すかぎり
太古の昔のような大地の姿が目前に現れる。

ひとつは軽井沢あたりの妙義山を中心とした国定公園。

そしてもうひとつは北信州から新潟にかけての
戸隠、妙高を含む国立公園。

後者は日本屈指の豪雪地帯だ。
長いこと人間を拒み続けてきた秘境の面影が今尚残る。
自然が濃いというか、力強いというか、いや、
そんな言葉では足らない、もっと暴力的とも言えるような
巨きなエネルギーを感じ、初めて訪れた時に圧倒された。
厳しい冬を知らずとも、自ずと畏れを抱かせてしまう、
そんな人を寄せ付けない雰囲気がそこの森にはあった。

大自然に生きたいと子供の頃から願ってきた自分は、
すっかりこの地に魅了されてしまった。

以来何度通ったかわからないが、
黒姫山や妙高山が見えてくる辺りに来ると今でも
不思議な気分の高揚がある。

日本に世界にといろいろ放浪して、大好きな場所もいくつかできた。
特にオーストラリアは本気で移住も考えた。
でもそれらはあくまでも"彼らの地"であった。

こここそが"自分の地"

まるで声を聞いたかのように
そう思えたのは生まれて初めてのことだった。





黒 姫 13:22 -
「FUURO」

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展示会のお知らせ

東京 目白でantosの個展です。
実はもうすぐです。告知が遅くなってすみません。
DMも間もなく皆さんに届くかと思います。

今回はFUUROさんの意向で2パターン作っていただきました。
左が自分の作品、右が水田の作品です。

二人とも動物の彫刻をもってきていますが、
展示はいつものような感じで、拾い集めた廃材を使った家具
(机、椅子、ローテーブル、子供椅子、照明など)が中心です。

ぜひお立ち寄りください。



「antos exhibition」

2012年2月18日(土)〜26日(日)
会期中無休
12:00〜19:00 最終日17:00
作家在廊日 18日(土)26日(日)

場所:FUURO

171-0031 
東京都豊島区目白3-13-5
イトーピア目白カレン1F
TEL 03-3950-0775







告 知 20:38 -
「落し物」

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床に落ちていた植物の欠片。
多肉植物の微妙な色合いに心惹かれてしまう。





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中 庭 10:36 -
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