木工デザイナーの三谷龍二さんと
FRPを使った造形作家ナカオタカシさんとの対談で松本へ。
場所は三谷さんが新しく作った自身のギャラリー「
10cm」
サイズ感や色合いがなんとも可愛いらしい建物。
あえて替えていないレトロな看板といい
手の入れるところ残すところの匙加減が絶妙だった。
古きよき建物の魅力を十分に残しつつも
実にシンプルで趣味の良い三谷さんらしい空間。
お店部分の奥に広がるキッチンにダイニングルーム、
トイレ、バスに寝室とそのどれもがとても魅力的だった。
むしろお店は端っこのほんの一角。
そのお店そっちのけな感じがまた良かった(笑)
見せるためだけのお店とかよりも
その人の生活がそこにある空間が好きだ。
お店はとてもお洒落だけど暮らしは別とか、
日常と非日常とかよく線引きされるけど
本当はそんな線引き無くなればいいって思う。
日本はもう十分に豊かなのだから日常や日々の暮らしにも
もうちょっと気を使える余裕があるはず。
余計なものは持たず、必要なものだけをよく選んで、
既にあるものを上手に生かし暮らしてゆけば
生活もまたもっとすっきりとした美しいものに
自ずとなっていくんじゃないかな。
実はこの建物も三谷さんが行動を起こさなければ
今はもう存在していないはずのものだという。
ご他分に洩れず“お約束”の駐車場になっていたそうだ。
歴史的建造物とかではないただの町のタバコ屋さん。
たとえ公的保存が期待できないとしても
個人レベルでできることもあるのではと考えた三谷さん。
その想いが町の小さな灯りを再び灯させることとなった。
三谷さんのような影響力のある人がこうして
形にして人に見せてくれることはとても大きいと思う。
自分のような若造が訴えるより遥かに世の中を動かす力がある。
こういう人、もっともっと増えて欲しい。
対談のほうはというと、
喋り下手なのであまり思うように話せなかったのだが、
お二人とお会い出来たことはとても良かったし
いろいろと勇気付けられた。
独学の人 道を切り開いてきた人 王道に背を向ける人
そんな人に昔から惹かれてきた。
普通の道を通らず寄り道回り道をしてきた人たちの
見てきた風景、そこで考えてきたこと、
そしてその人が今差し出してくるものには
その人にしかない唯一無二の“何か”がある。
当日耳にしたことは初めて聞く事ばかりだったけど
なんとなく直感的に感じ取っていたことのような気もする。
聞いて納得ということが多かった。
この人好きだなという第一印象は
意外なほど当たっている場合が多い。
人は手作りの楽器のようなものだと思う。
自分にしか出せない音がある。
他人と比べたりとか競争したりとかではなく
自分にしか出せないその音に
自分なりに精一杯こだわって生きてゆけたらいい。