美しく暮らしたい

すべてを自らの手で作る暮らし

できることから

ひとつひとつ

「白 鳥」
 
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手のひらにのる小さな白鳥
木の皮のようなもので彫ったため
あまり自由がきかず、あえて曖昧に彫ってみた。
細部と言うより大まかな感じで白鳥を捉えたかった。


二枚の白鳥の写真がなぜかずっと気になっていた。
とてもエレガントで美しいのだ。

調べてみるとそれは二つとも
「瘤白鳥」という種の白鳥であることがわかった。

古代はローマの時代から人々に愛され
中世では王の鳥と讃えられた白鳥だという。
現代ではデンマークの国鳥となっている。
納得。

純白の白い体に杏色の嘴。
その対比だけでも綺麗なのだが
さらにそれを繋ぐ接点から目の辺りにかけてを
黒でキュッと締めているあたりがなんともいい。
グッと上品になっている。
この作品では色も抑えているのであまりそうしなかったが。

こんどは細かな部分も捉えた大きな瘤白鳥 
彫ってみたい


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彫 刻 10:18 -
「龍の巣」

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             LAPUTA  







地 球 11:39 -
「心象風景」
 
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アフリカの夕焼け


のように一瞬見えて暫く立ち止まっていた。
近所の犬の散歩道なのだけれど。

へんてこな形の樹々
樹上に腰掛けている名前も知らない猿
遠くのねぐらから微かな鳥の啼き声が聞こえてくる
夕陽の沈んだ先へと続く幾頭もの象の足跡を
いつまでもいつまでも眺めていた

みたいな。そんな風景。

いつの日か本当に眺めてみたい心象風景





日 日 12:43 -
「大 寒」

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寒の内まっただなか。
でもこれが寒さの底かと思うと随分気が楽になる。
日もだいぶ長くなっているのを実感するし
これから揺り戻しはあれど基本的には
暖かさへと向かう一方なのだ。

凍りついたホオの葉も
朴葉焼きを思うとどことなく温かい。





日 日 23:13 -
「時計の針」

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打ち棄てられた米軍ハウス。

朽ちた水廻り、植物が這う壁、見たことないほどに波打つ床。
黴と埃と泥に覆われ息をするのも苦しい。

見る人が見たら間違いなく即刻撤去の烙印を押したであろう。
だが幸運にもこの家はそうならなかった。

「貴重な家」 そう感じた人がいた。
このまま眠らせておくわけにはいかない、
まして人知れず消えていくような運命を辿らせるわけにはいかない、
そう考えた人がいた。

そしてその想いが自分達に託された。
廃墟になった米軍ハウスを再生する仕事を頂いた。
もう何年も前のことである。

とても汚かった。ボロボロだった。
だが一目で自分達もわかった。この家は「貴重」だと。
この家の修復をやらせてもらえるなんて幸せだと思った。


古い家の補修を見ていつも気になるのは綺麗にし過ぎてしまうこと。
新築のようにしてしまいその家に刻まれた歴史を消し去ってしまう。
それでは古い家の魅力が削ぎ落とされる。
だからそうならないよう心砕いた。

壁の補修にしても単色で塗りつぶすのではなく
剥がれ堕ちるところだけすべて剥がし
そこに調色に調色を重ねて色を一つ一つ筆で落としていった。
剥げて下地が覗く様もまた美しいので直し過ぎないよう心掛けた。
補修して綺麗に見えすぎる箇所は周りに合わせて汚したりもした。
上手くいけばいくほど自分達の手を入れた痕跡が消えていく。
補修したのではなく元からそうであったかのように見えてくる。
それを目指した。特別なことはしなくていい。
誰も何もしていない、昔からずっとそのまま。
そんな空間にしたかった。

家具や装飾を入れ、扉を変え、合う物が無ければ自ら造り、
そうやって時間を掛けて自分達が納得するまで手を入れ蘇らせていった。


この家と初めて対面した時
美人の面影を残す老婆に出会った時のような感じがしたのを覚えている。
ただどういう経緯があったか知らないがだいぶ草臥れてしまっていた。
自分達のする作業は時計の針を戻しその面影を探ってゆくことだった。

長年閉じられ埃に埋もれたアルバム。
塵を払いページを捲りその写真に目を落とすとそこにはやはり
息をのむほど美しい人の姿があった。









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住 処 21:19 -
「老朽化」
 
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一年前、住んでいた家が「老朽化」のため取り壊された。

本当に、本当にほんの一瞬で家は家でなくなり
すべては「ゴミ」となって運び去られていった。

壊される前日の晩までかかって建具、水廻りのもの、
床板等使えるものは全て自分達で取り外した。
当日も解体屋に協力してもらい屋根瓦や壁板を剥がし保管した。

いよいよショベルカーが入り、徐々に躯体部分が露になると
材の状態がハッキリとわかってくる。
そして改めて寿命なんかでないことを知る。やっぱりなと思った。

「老朽化」―古い建物を壊す時の決まり文句。
切り札的な言葉でもある。
これを出されると何人も責めることはできない。
免罪符のようでもある。
すべて許されてしまうという「ありがたい」言葉。

老朽化。
確かにそれも理由の一つとしてあるかもしれない。
しかしそれはあくまで理由の一つに過ぎず
その最たる理由は他にある場合が少なくない。

うちの場合もお決まりの
「老朽化」「安全のため」という言葉が幾度となく繰り返された。
だが一番肝心なはずの安全性の問題点、
つまりどの部屋のどの部分がなぜ危険なのかという説明は
大家さんからも不動産屋さんからも一切なされなかった。

何度も話し合いを重ねたが話し合いは平行線のまま。
実際の耐久度を調べるような事はとうとう一度も無くコトは為された。

だが自分の持ち物でない以上
語られないよそ様の種々の事情、意向をよそに
自分の意を通し続けることはやはり出来ない。
諦めるよりほかなかった。



ただ、こんなことをいつまでも繰り返していたら
日本人はこの先もずっと幸せになれないと強く思う。

「30年経ったら木造家屋は全くの無価値」
自分には信じ難い価値観だが平然とまかり通ってきたところをみると
世の人々の感覚とそう遠くないのかもしれない。そこに驚く。
自分がごく稀な少数派なのかとずっと不思議に思っていたのだが
それはどうやら日本独特の感覚であるようだ。
それを如実に示す数字がある。

国土交通省によると、住宅取引全体に占める中古の割合は
イギリス8割 アメリカ7割という数字が出ているのに対して
わが日本はなんと1割だそうだ。1割って…

古いものを大切にする文化が育っていないというのは
今さら数字を出すまでもなく明らかだが
まさかここまで差があるとは思ってもみなかった。

日本は多雨で湿度も高いアジアの気候でありまた地震国でもある。
安全性を重視するなら古いものには厳しくならざるをえない。
欧米と単純に比較することは出来ないと言う人もあるかもしれない。

たとえそれでもだ。
この数字が全く動かせないものだとは自分は思わない。
なぜなら壊される理由は他にある場合が少なくないからだ。
それに安全面が家ほど直接的に関係しない家具をみても
最新のものよりも古いものの価値を上とする
欧米人の感覚に対して日本人の価値基準は全く逆だ。
それこそが現状をもたらしている最大の要因であろう。

だが望みが無いわけではない。
造っては壊しを物凄い勢いで繰り返すこの社会を
半ば絶望的にずっと眺めてきたが、人々の感覚や時代の空気に
若干の変化が生じてきていることを近年日々感じる。
10年と遡らないわずか数年前から確実に変わってきた。
多くの人が変わり始めている。世の中を変えようと動き出している。
そこで自分はどう動くのか、真剣に考えたい。

日本は今、大きく舵を切るべき時を迎えていると思う。
すべてにおいてもう一度見つめなおしていくべきだろう。
70年かけて育つ木を30年でゴミにしていたのでは森林は減る一方だ。
査定基準であるとか税金の面でとか古い家の持ち主に対する制度も
もっと変わらなければ現実は動かないだろう。
そしてその全てを動かしていく原動力はやはり
自分達の意識―そこに尽きるのだと思う。



住 処 18:45 -
「愛した家」
 
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今はもう無い家

一年前の今日
ショベルカーが我が家にやって来た
そしてすべて無くなった

まっさらなそこに砂利が敷かれ
車三台分を示すロープがひかれ

なにもない
ただそれだけの場所になった

とても愛した家





住 処 10:52 -
「新 年」

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新年  

気がつけば年男。
心も体もまだまだ老けるつもりは毛頭ないが
意外と若くない。
早く夢を実現させていかなければと焦る気持を抑えつつ
2011年、我武者羅に駆け抜けたい。

新たな人生の幕開けの年。
今までの全てをかける。





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年賀状は黒姫の空。
本年もどうぞよろしくお願い致します。





黒 姫 13:15 -
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