「一歳になる我が子への
誕生日とクリスマスプレゼントに」
という依頼だった。
依頼主さんのお子さんがよそのお宅で
この小椅子をとても気に入りずっと座っていたから、とのこと。
胸が一杯になった。
顔はわからないけれど願いを込めて
花とリボン、ほんのささやかな気持ちを添えて届けた小椅子は今
「誇らしげに」座るその子の小さなお尻を支えている。
小さい時のお気に入り。誰しもあったと思う。
自分にもあった。
自分の作ったものが誰かのお気に入りになる。
これはこの仕事を始めるまで想像だにしなかったこと。
凄いことだと思う。
小さな子への贈り物に限らず
大切な奥さんにとか、新しいことを始める自分にとか
そんな言葉と共に作品を選んでいただくことがある。
ものを作る人間にとって
それは何よりも嬉しくかけがえの無いもの。
またそれがないと続けてはてゆけないもの。
自分の作るものや人生に何の意味があるのかと
時々迷子になる。
そんな時そっと手を引いてくれるのは
思いがけないところから届くこういった
言葉だったり想いだったりする。
続けさせてもらうにはもちろんお金も大切だが
それだけで続けられる人なんてなかなかいない。
ヒトは群れる動物。
誰かに必要とされたり共感を得たりすることで安心する。
生きてていいんだと思える。
それが一つも無いとやはり
生きてはゆけないのだと思う。