真冬に一度訪れなければと二月の黒姫へ。
旅人としてではなくそこに暮らす人間としての視点で
その厳しい様を見ておきたかった。
東京に生まれ育った自分が
雪国の、しかも冬の山暮らしを見て何を思うのか知りたかった。
果たして結果は―
冬の黒姫もまた大好きだなということだった。
移住者の方の「冬こそがいいんだ」
という言葉の意味が今ならよくわかる。
もちろん大変なことや不便なことはたくさんあると思う。
でもそれに余りある素晴らしいものがそこにはある。
「本当の四季」のリズムがこの体に刻まれてゆくのが嬉しい。
静謐で透明感のある、「雪のある風景の色」が自分の中に
新たに堆積してゆくのもまた嬉しい。
チベットにアラスカ
宮沢賢治、星野道夫にターシャ・テューダー
「大草原の小さな家」に「北の国から」
昔から憧れてきたものはすべて白銀の世界と共にあった。
そこに住むのが自然な流れなのかもしれない。
オーストラリアでサーフィンを始め
南の暖かな海に暮らすことを夢見たりもした。
でも今はもう諦めた。
今は一番自分らしく生きられるこの地に何の迷いも無い。
雪国に暮らすのは初めてだけど、
「人生は初めてのためにある」とは誰かが言っていたっけ。
たくさんの初めてに出会い、子供の頃のように感動したい。
「感動こそが人生」だと思う。
大好きな人達に温かく迎えてもらい
とても幸せな二月の黒姫だった。