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美しく暮らしたい

すべてを自らの手で作る暮らし

できることから

ひとつひとつ

「忘れられないコート」

 

 

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フランス、ノルマンディーの片田舎にある農場で少し手伝いをしていた時のこと。
そこでは昔ながらのパン作りをしていて、古城跡の朝市で石畳の上に机を並べて売っていた。

 

小麦を育てて石臼で挽き、薪を使って石釜で焼く。
池の畔にある小屋の煙突から薄い煙が立ち昇るとき

辺りはなんとも言えない幸せな香りに包まれた。

 

自分のことをパン屋ではなく、あくまでも農家だと言う彼。
糸がほつれ色が褪せた古いコートを羽織って日々の作業を
黙々とこなしてゆく粉まみれの背中が眩しかった。

 

仕事を終え、暗い部屋に掛けられたそのコート。
ひとりの人間の人生が刻まれた布の姿に心震えた。
自分にとってはどんな服よりも美しく
生涯忘れえぬコートとなった。

 


未 草 小林 寛樹

 

 

 

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雑 記 10:30 -
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