早朝、布団から這い出し目にした家族の肖像。
外の水場ではお婆さんが裸足になって民族衣装の着物を洗っている。
家畜小屋の扉の奥ではお母さんが餌やりや乳搾りにいそしみ
板の間ではお父さんが胡坐の上で、枝から杓子のようなものを彫り出している。
そして子供までもが納屋の干草の上で経典を広げ熱心に呟く。
まだ薄暗い朝の時間にだ。もう参ってしまった。
今でも頭から離れない、鮮烈な明けがたの光景。
事あるごとに思い出しては背筋を正し自分に問いかける。
あんなふうに「きちんと」日々を生きれているだろうかと。
少しでも近づけているだろうかと。