「…本と椅子さえあれば森の中、どこでも自由な時間が作れます。」
本展で謳ったこの言葉は4年間の森の開拓生活から生まれたものです。
黒姫の土地の木々を持ち込み、実際に森で使ってきた白い布の日除け、
椅子や机やトランク、食事まわりの道具、そして羊の彫刻を並べました。
開拓暮らしの空気のようなものを少しでも感じ取って頂けたのなら嬉しいです。
今回も遠くからわざわざ足を運んで下さるお客さんが少なからずいました。
いつも本当にありがとうございます。
より不便な地で恐縮なのですが、いつの日か黒姫の土地にも
ぜひいらして欲しいという強い思いがあります。
羊が草を食む草原でゆっくりと誰かと食事をしたり、
小川のせせらぎを聞きながら独り本を読んだり、あるいはそんな風景を眺めたり…
自分が豪州で経験してきたそんな暮しを一人でも多くの人に伝えたくて
かれこれ14年、一歩ずつそこへ向かい歩んでいます。
どうしても伝えたいことがあります。
それは生き方そのものでしか伝えられないものだと思っています。
豪州の草原でかつて自分が受け取った言伝(ことづて)、
それは本当にかけがえのないものなのです。