美しく暮らしたい

すべてを自らの手で作る暮らし

できることから

ひとつひとつ

「幸 運」

 

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壁と床の間から現れた一枚の硬貨。1954年と刻まれている。

 

この硬貨は一体どんな時代に、どんな人のポケットの中で海を渡り

どのくらいの間この暗い壁の中に閉じ込められていたのだろう。

作業中のひと時、しばし頭は小さな物語の中へ。

 

米国では、落ちている1ドル硬貨を「lucky penny」と呼び

縁起物とする風習があるそうだ。

 

新たに作る家のどこかにも忍ばせて、また見守ってもらうことに決めた。

今度はもうちょっと光の射す、息苦しくない場所に居てもらおう。

いつかまた、再び誰かが手にするその日まで。

 

 

 

 

 

 

住 処 14:03 -
「床 板」 

 

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報告できずに随分と経ってしまった春の自宅の解体。

 

床板を丁寧に剥がしてゆく。

電動工具を使い、壁際の床板を切って駄目にしてしまえば楽なのだが

一枚も無駄にしたくないので一手間かける。

 

 

 

 

 

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床板の裏には「秋田 ブナ」の刻印。

愛着あるこの床板がブナだったことが本当に嬉しい。

その立ち姿、樹皮、木肌共にどこか女性を思わせ

群生する森の姿も繊細で美しく、とても好きな木だ。

 

白神山地のような大きなブナの森からやって来たのだろうか。

今出回っている「ブナ」は大体「ビーチ」という外国産のもの。

思い入れ抜きにしても貴重な材だ。新たに作る家でも大事に使いたい。

 

各部屋の床をそのまま再現できるよう、一枚ずつ記号と番号を記していった。

長い月日の中で刻み付けられた、人の暮らしが描く痕跡は

一枚の画そのものだと思うから。

 

 

 

 

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絹毛に白化粧された若葉もまた綺麗なブナ。

日本中のブナ林同様、黒姫のブナ林も既に失われてしまっている.

だから毎年少しづつ、自分の土地にブナを植え続けている。

 

 

 


 

 

住 処 12:15 -
「残 像」

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ここから未 草が始まったとても思い入れの深い家。

随分と前に立ち退いたまま、家だけぽつんと残っていました。
しかしそれももうあと少しだけ。

初めて窓から中を覗いた時の胸の高鳴り。
一年かけて二人で修繕して始まった二人と二匹の幸せな日々。
美しい家が与えてくれた、美しい日々のたくさんの欠片たち。
一生大事にしてゆきたいです。

長い間に多くの方が遠方より訪ねて下さいました。
この家を愛して下さったすべての方々に感謝します。

今日から自らの手で解体。
最初に手をかける瞬間、万感の思い溢れ心揺れそうです。





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住 処 12:25 -
「古 家」

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古い家とそこに暮らす人々を見つめる本に載せて頂いた。
カメラマンは黒姫を撮ってくださっている松村隆史さん。
この家と自分たちのことをいつか書きたいと、何年も前から
企画を温めてくださっていた梶謡子さん。
壊される前にこうして記録に残して下さったお二方に感謝です。





 
住 処 22:24 -
「錯 覚」


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自宅展で壁に投影していたノルマンディーの農場の写真。
時々ここがどこだかわからなくなるような不思議な感覚に。





 
住 処 11:23 -
「最 後」


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長い年月を経てきたこの家が最後の冬を迎えています。
春と夏は再びやって来ますが、もう二度とこの家に秋と冬は訪れないのです。

月を眺めながら聴いた秋の虫の音や、冬に差す美しい光がより一層愛おしく
感じられます。残り少ない日々を丁寧に大切に過ごしてゆきたいと切に思います。

今回の自宅展も多くの方に遠方よりお越し頂きました。ありがとうございます。

この瞬間、この場所に確かに存在していたもの。
一人でも多くの方の中に在り続けてくれたとしたら嬉しいです。





 
住 処 16:12 -
「赤い煙突」
 

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いよいよ明日から自宅展が始まります。

都心から少し離れてはいますが、お天気にも恵まれそうなので
福生(「ふっさ」と読みます)散歩もかねてぜひいらしてください。

基地から離れているので、近くに似たような米軍ハウスも無く
わりとわかりやすいかと思います。

空き地の奥に白い古い家がポツンとあります。
赤い煙突が目印です。

福生駅から徒歩8分。

お車でお越しの方は目の前の空き地にとめてください。
6台駐車可です。






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テイカカズラの新芽が溢れんばかりです。
無数の蕾をつけています。

庭いっぱいの香りでお迎え出来たら嬉しいです。

それでは遠いところを恐縮ですが
お気をつけていらしてください。
お待ちしております。


小林 寛樹・庸子





メールの返信が間に合っておらず失礼をしております。
返信の前にお会いする方もあるかもしれません。
本当に申し訳ありません。
返信は随時していきますのでもうしばらくお待ちください。
すみませんがよろしくお願い致します。















住 処 10:15 -
「台 所」
 
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ホールから覗くキッチン。
この斜めの壁を抜けてキッチンへという作りも気に入っている。






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キッチンは嫁さんの城なので、
見た目も機能もすべて彼女の望むように作った。
とても気持ちの良いキッチンになったと思う。






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庭で摘んだコデマリ。

野の花、庭の花、ときに花屋の花。
キッチンになにかしらの花を飾ることを
二人の習慣として楽しんでいる。






住 処 22:25 -
「主 室」

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メインの展示室となるホール。

この米軍ハウスは面白い間取りになっている。
玄関から入るとまずこのホールがあって、
それを取り囲むように各部屋がある。






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広いホールを持ちあわせ、天井もかなり高い。
薪ストーブ用の煙突もある。

ハウスをいくつも見てきたけど、
この家はとても上等なものだと思う。

家中すべてオリジナルの木枠の窓のままなのに
隙間風もほとんどないし動きも滑らか。

きっと長いこと住んだ米軍人さんが
とても丁寧にメンテナンスをしてきたのだろう。
そうでないとこの状態は保てない。

やはり作ることが好きな人で、
いろんな工具やら材料を持っていたそうだ。


大家さんから語られるその人に会うことはもうない。

けれど今こうして家を直しながら住んでいて、
彼の直した痕跡にふと出会うことがある。

そんな時、なんだかその人と想いが重なったような気になる。
そしてありがとうって心の底から思う。

無くなってしまうその時まで、
自分もだいじにだいじに住みたい。






住 処 09:08 -
「寝 室」
 
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白で統一されたこの家で唯一 色を使った部屋がある。
それがこの寝室だ。






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この家の歩んだ歴史そのものがここに刻まれている。
六十余年の歳月の為すものの前では、人の作るものなど霞む。

うつろう季節の光が織りなす壁の陰影。
それらに思わず見とれてしてしまうような美しい壁が
今の新しい家にあるだろうか。

古い家がなくなるということ。
それはまたひとつこの世から美しいものが失われるということ。

再現しようと思ってもまた長い年月を要する。
二度と再現できないものもある。

そういうことをもっともっと多くの人に
わかって欲しいと切に願う。







住 処 10:25 -