美しく暮らしたい
すべてを自らの手で作る暮らし
できることから
ひとつひとつ
美しく暮らしたい
すべてを自らの手で作る暮らし
できることから
ひとつひとつ
フランス、ノルマンディーの片田舎にある農場で少し手伝いをしていた時のこと。
そこでは昔ながらのパン作りをしていて、古城跡の朝市で石畳の上に机を並べて売っていた。
小麦を育てて石臼で挽き、薪を使って石釜で焼く。
池の畔にある小屋の煙突から薄い煙が立ち昇るとき
辺りはなんとも言えない幸せな香りに包まれた。
自分のことをパン屋ではなく、あくまでも農家だと言う彼。
糸がほつれ色が褪せた古いコートを羽織って日々の作業を
黙々とこなしてゆく粉まみれの背中が眩しかった。
仕事を終え、暗い部屋に掛けられたそのコート。
ひとりの人間の人生が刻まれた布の姿に心震えた。
自分にとってはどんな服よりも美しく
生涯忘れえぬコートとなった。
未 草 小林 寛樹
ひたすら遠い先を見つめ歩んできたような人生だった。
ふと気がつくと、いつの間にか目指していた山の懐まで来ていた。
これからは、ここから見える周りの風景もよく見渡し
その先をゆっくりと目指すように歩を進めてゆきたい。
立ち止まって身近なものを見つめ、目の前の人を愛し
今この瞬間をより慈しみながら、未だ見ぬ世界の輪郭に触れてみたい。
SAYS FARMさんでの展示会が始まりました。
雄大な立山連峰、富山湾を望む絶景の農場とワイナリー。
奥さんの故郷に近く、嬉しい再会がたくさんありました。ありがとうございます。
山羊や鶏、犬、そして気の合う友人たちと過ごす山の上の数日間の暮らしは
静かでとても居心地の良いものでした。
残念ながらここを発ちますが会期は25日(日)までです。
今週から立て続けに3つの展示会告知が続きます。
黒姫の森の開拓を始めてから、展示会は秋にというサイクルが定着し
ざっくり分けると春夏を山仕事、秋冬を展示会に充てています。
春夏はやらなければならない山仕事が多く、
また、真冬に展示会を入れると大雪時に屋根の雪下ろしが出来ません。
昨季はまさにそれで物置小屋が潰れ、仮住まいの屋根が変形。
危うく潰れるところでした。
そのため好む好まざるとに関わらず、展示会を秋に集中せざるをえないのです。
自分の中のギアを上げ、無事に駆け抜けたいと思います。
透き通るほど純粋な、優しい心を持つ彼女。
華奢なその手でもいだ果実は、触れるだけで
思いやりに溢れた彼女の毎日が目の前に広がる。
.
知りうる優しさを越えた優しさ。
彼女を想うといつも、涙が出そうになる。
「寛ぐ樹(き)だね。」
自分の名前を読んである人がそう言った。
樹自体が心地好さそうに陽を浴び、風にそよいでいる姿なのか
あるいはその下で人がもたれて憩う姿なのか…
どちらにせよその言葉の響きと、その人の描く心象がとても素敵だなと思った。
ある小さな島の静謐な場所に立つ大楠。
枝をいっぱいに拡げてその大きな体が向かう先は、春の長閑な海と空。
巨きなもの包まれる大きなもの。
そこに満ちるのは深い深い安心感。
目指すべきはきっとこういうものなんだと思う。
本当に久しぶりの更新。
文章を読んだり書いたりということから随分と長いあいだ離れていた。
瀬戸内の海に降り注ぐ光
霞に響く汽笛は新たな時を告げる合図
長かった夜がいま明け始めている。